「詩の習作演習」

 

                     佐 藤 悟 郎

 

 

 叙情詩と象徴詩を主体とした研究と詩の創作を進めていかなければならない。研究の主たる課題は、叙事詩の歴史的背景と詩の推敲、更にこれからの発展の可能性である。象徴詩については、その起源と原因についての考察、象徴詩として成立する要素に関することである。

 

 習作としての心構えは、叙事詩は感動を主体とした詩であって、構成技術と感動効果に注意しなければならない。象徴詩については、考究的思索を主体とした詩であって、象徴する主題を如何に掴むか、主題を如何に詩として生かすかにある。

 

 「詩」に対する一つの観念がある。詩は、形式から入っていくこと、規律的なものであること、連作とか奔放というものがあることである。詩が完成されるには、その何れも操作することができることが先決である。

 

 物語的な詩は、連作又は奔放的な形式によることが望ましく、短い詩及び感動を主体とした詩は、規律的な形式によるのが適当である。

 

 詩が他のものから区別される特徴としては、次のとおりである。

第一に、韻の流れや語調の流れが成立していることである。

第二に、単なる説明でなく、何らかの感動や情緒が含まれていなければな

         らない。

第三に、精選されて不自然でない言葉の続きであることである。

第四に、それらが作品として深みのある内容であることである。