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      「当面の文学活動について」

 

                            佐 藤 悟 郎

 

 当面の創作活動を如何にするか。文学活動に付随する活動を具体的にどのように実施するのか。活動の目的は何か、これらのことについて考えなければならない。

 

 当面という意味は、半年を一つの時期として考えることにする。

 

 創作活動は、或る程度無鉄砲でも構わないと思っている。重要なことは書き続けること、完成させること、草稿を作ることの三点である。現在、私の作品の中で小説家の作品と比べるものは、何一つない。

 

 付随する活動として文学書の読破、必要な資料の収集、学問的体系の学習の三点を主体としたい。

 

 当面、創刊期の活動は、今後の活動に重要な意味を持っていることを銘記しなければならない。私生活と公務の両立が要求される。公務は多種多様で、生活に余裕がなく火の車の如くあることは明らかである。これに加えて家庭生活がある。生活管理を厳しくし、各活動に成果を挙げなければならない。

 活動上注意しなければならないのは、活動時間を獲得することである。飲酒、遊興を止めなければならない。外出についても、ロスがないようにしなければならない。

 

一 文学書の読破の当面について

  主として「外国文学入門」による百選を中心に読破することとする。将来は、各国文学と日本文学の並列的読破とし、日本文学は古い物から現代へと順次読破していくものとする。

 

二 必要資料の収集の当面について

  小説を書く上で基本的、実質的な資料を収集すること。例えば、和服に関する資料など字引的に活用ができるように収集整理するものとする。

 

三 学問体系の学習の当面について

  大学教育を受けていないことから、これを埋める勉強をしなければならない。特に哲学関係、社会学関係の勉強は不可欠である。当面は、哲学と心理学を並列的に学習していくこととする。

 

 以上の方針に基づき、活動を限定し、かつ集中して実践する必要がある。本を収集するため、本屋に通うことを忘れてはならない。

 作品の発表時期は、よく考えて決めることとする。焦ってはならないが、機を失してもならない。駄作の発表は、文学者としての印象を悪くする。発表するのは、駄作であってはならない。