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「創作上の人物の考察」

 

     佐 藤 悟 郎

 

 

 創作する上で人物を如何に見るかは、大切である。常日頃、人物の観察に配意しなければならない。

 

 人物を考察あるいは観察する場合、基本的な重要な要素があるように思われる。その要素とは

 一つ 何を思ったのか。

 二つ 何を言ったのか。

 三つ 何をしたのか。

の三点である。この三点が人物を特定する要素であり、もちろん創作する上で、その人物を考察あるいは観察する要素でもある。

 

 この三つの要素は、それぞれ独立して成立しており、相互に矛盾する場合も多い。この場合の矛盾を計る尺度には、どこに求めてよいのか難しいことである。大方、社会一般的な見解に求められることが思われる。

 

 例示的に順を追って言ってみるならば次のことが考えられる。その人はそのように言った。そしてその通り行動した。またその通り考えた。ここでは統一される。しかし、その人はそのようなことは言わなかった。しかるに行動したことは考えたとおりだった。これは不統一なことである。それは一面的な不統一であって、全体から見れば正しいことなのかも知れない。

 

 要素は個々独立したものであるから、一つの要素を取り上げ、他の要素を色々推し測ることができる。一つの要素から他の要素を考えることは、創作する上で重要なことである。それは要素の組み立ては、創作する者の意図であるからである。

 

 また、要素を考察することのほか、その要素に影響を及ぼす要素、影響要素を推し測ることも大切なことである。そこには法則的に人物を縛り上げる影響要素が存在し、創作上背景として反映させなければならない。思想哲学を論ずるのではない。作品の背景を考えなければならないように思う。