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「狂気」
佐 藤 悟 郎
私は、夢見る男なのかも知れない。それで良いと思う。心を開き、その中に溶け込んでいかなければならない。触れることのできない、幻の世界でしかないだろう。
仕方のないことである。現実の中で求めることができない。だから、心の中に求め、創造していかなければならない。内向的な精神の持ち主と言われるだろう。甘美な人の心、危険である。現実から離れ、理解者を求めるにも、夢の中でしか求められないだろう。
少年の頃に大きな夢を見たように、心の中に大きな世界を造っていかなければならない。あらゆる、多くの、語り合える人々を作り上げていかなければならない。既に、私の心は動き出している。どちらが私の真実であり、現実なのだろうか。視点を変えてしまえば、見分けが付かなくなるだろう。そして、狂気の考えとも言われるだろう。
昭和五十九年九月二十六日
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