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    「創作のために」

 

                       佐 藤 悟 郎

 

 

 創作活動の壁と、早くも対峙している。これを避けて通ることはできない。小説を継続的に維持することが、困難になっているという状態である。常に創作活動に没頭することは、私の今の状態では不可能である。他にやるべき基礎的なことも、莫大な量があるからである。

 

 こんな中にあって、如何なる方法で小説を書き上げることにするのか、効果的な方針を心得ておかなければならない。小説を書き上げるには、少なくとも物語の流れ、その中の趣意がなければ、如何ともし難いと思う。この中には、二つの大きな要素がある。一つは考える要素、もう一つは書くという要素である。今まで、別々に取り扱ってきたのではないかと思う。

 

 これらを加味し、創作活動を次のようにしてゆけば、より効果的に活動してゆけるものと思う。思考の部分と、小説を書く部分の双方を共にやるべきである。つまり、一つの小説について、小説となるべきものと、思考したものの、二つの書類ができるということである。相互を関連づけながら活動してゆけば、忘れるとか、意思の中断ということは、より少なくなり、活動がやり易くなると考えられる。

 

 書くことも、書き易い部分、重要な部分から書いてゆくことが大切と思う。結果として、その効果を見つめ、十分に纏めていくという方法をとることである。思考については、その活動を通じての時々を捉え、書いていくものとすればよいのではないかと思う。

 

 もっと苦しい時が、襲ってくるだろう。いつの時もそうである。克服し、絶えず前進する意欲を失ってはならない。

 

 創作すべき時間を、思考からも、また書くことからも逃げてはならない。逃げるような態度は、全てを駄目にする。逃げれば、後から良い考えが追いかけてくるのではない。涙を流し、自分の無能さを、少なくても嘆く時間にすることである。