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   「当面の文学活動」

 

                       佐 藤 悟 郎

 

 

 活動を、余りにも性急に行うことに、無理を感ずる。確実に推進していく方が、長い期間の目的に、近道であると思う。落ち着いて、今後の活動を継続していくことが大切である。

 

 現在の私にとって大切なことは、複雑な環境に最も適した、具体的方法を考え、実践していくことである。方針は、総括的に示しても空想としかならず、実践できない状態となる。必要に応じ、必要に応じて当面の活動を大局的に見つめ、定めて実行するのがよいと思う。

 

 現在、私は過去の書類の点検、整理をすることに努めている。具体的には、日記及び草稿の書き改め、整備である。過去の実態を明らかにし、過去、現在、そして未来に向けての、統一した精神及び活動としたいからである。時間がかかる作業であることも知っている。

 

 小説を発表するまでの過程については、草稿段階、作品段階、発表段階の三つの段階を基本としたいと思う。執筆活動の中心は、草稿及び作品の段階を重点としなければならない。今までのものを、差し当たって書き改め、新しい草稿活動を始めていく必要がある。草稿の中から選び、構想をよく練り、作品として発展させていく、このような手順を確立するべきだと思う。

 

 文学活動論に関しても、過去のものを読み、内容ごとに取り纏める作業が必要である。これについては、草稿の書き改め作業が終了してから、着手することである。

 

 次に、日記の書き改め作業であるが、その中に、短文的写生文や纏まりのある随想などは、「その他」のものとして書き改める方が良いと思われる。とにかく、長い作業であることから、根気よく行うことが大切である。

 

 次に、新しい研究として「思想」の研究をする必要があると思う。別に、思想の専門家の立場を取ることではなく、課題に対する考察、また考察に対する研究と言うことになるだろう。

 

 当面の文学活動は、以上のようなものになる。余り欲を張った活動をしても、実りのないものとなることに、注意を払わなければならない。