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   「私の創作論」

 

                       佐 藤 悟 郎

 

 

 私は、今まで思ってきた。実力を養ってから、創作ができるものだということを。そして、いつも壁に突き当たった。

 

 壁の一つは、実力がない現在、まだ創作をしてはならないということである。スケッチ的、手記的な活動をしている。喩え、創作活動としてやっても、草稿で終わり、後は実力が付いた時に創作するということである。創作という目的を持ちながら、いつもその手前で立ち止まっていたことになっていた。

 

 壁の二つめとして、果たして私の実力が、どのようなものなのかを、知ることができない立場にいたことである。将来の結果を期待して、中途半端な活動に陥ったのである。実力の判断は、決してスケッチや手記であるはずはなく、創作を対象として判断すべきではないのだろうか。

 

 私の文学活動の反省として、以上の二つの点があり、現在まで、私がやってきた活動を改めるための批判ともするものである。

 

 文学活動を創作としてみるならば、創作を中心とする活動でなければならないのではなかろうか。他の活動が主となるのは、逆の考え方であると思われる。

 

 創作のための足りないことがあれば、その従としての活動で穴を埋める必要であり、活動としての創作は、あくまでも主となるべきである。

 

 私の文学活動は、主なる創作を始めることであって、決して、従たるものから始めるものでないことを、心に置かなければならない。