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「文学について」
佐 藤 悟 郎
文学活動というものは、創作にある。その分野は広いが、詩歌の創作、小説の創作、戯曲の創作と色々分野がある中で、やはり小説と詩歌の創作が活動の中心となっていく。その実際であろうが、理想であろうが、自分の実質を高めるために書いていかなくてはならない。
毎日の生活の中で、少なくとも、文学活動(狭い意味での執筆活動)を行わなければ、何の意味もない。最初は、拙劣なものが出来上がるだろう。そんなことを気にしてはいけないと思う。それは、反省の段階のものであり、来るべき作品のために、必要な経過であることを忘れてはならない。また、余り理詰めの心を持ってはならない。人間が、そんなに理詰めで動いていくものでないことは、経験上知っているからだ。無味乾燥としたものに、作品が作り上げられていくだろう。心を大切にしていくことだ。そして文章を大切に書いていくことだ。無駄のないように、活動を進めていくことだ。
小説の文章の基本は、何処にあるのか。心の表象を、適切に分かり易く、美しい文章で書き、正しい表現ができることにある。短い作品、長い作品と色々ある。また、並行的に書いていかなければならないこともあると思う。いずれにしても、それを作品として書き上げることが大切である。大したことがないからと言って、何も文学的処理もしなかったら、それは却って重荷になることを知らなければならない。破棄した方が、もっと無益となるだろう。差し当たり、詩を、頭と心で考える作品を書き上げていくことに、努めなければならないだろう。
作品を書くことは、決して簡単でない。苦しい作業であることを忘れてはならない。筋と心と情景を、しっかり捉え、書き続けていかなければならない。書く時は、原稿用紙に書き、保管するようにすることだ。散逸させることは、最も危険なことである。そして、心に触れないことを書くことがないように、注意しなければならない。
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