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「姉の言葉」

 

     佐 藤 悟 郎

 

 

 春が過ぎ、夏を待ちわびる頃となった。創作活動をどのように進めていくか、何度も迷った挙げ句、どうでもよいという結果となった。大切なことは創作活動を続けなければならないという、強い意思を持つことだと思った。短い人生であるから、活動を効果的にするには、どのような体系でやっていくかを、時々に考えてゆかなければならないだろうとも思った。

 

 姉が言った。

 「書き物をしているのでしょう。」

私ははっきりと答えなかった。私の周囲の人で、私の創作活動に興味を抱いている人がいる。そのような周囲の人々の心を大切にし、精力的に活動をしていかなければならない。現在の状態は、決して創作活動に熱心であると言えない。短い文章でもよい、書くことが大切だと思った。

 

 以前から注意しなければならないと思っていることであるが、抽象的な文章は、避けるべきだ。読み返しても作成した者自身が理解できない結果となるからだ。自分独りよがりの立場で文章を綴ることが、抽象的な内容を招来する原因となることが多い。一つひとつの文章を大切に綴ることが重要である。

 

 創作活動をすると言っても、無秩序で行うことは好ましくないと思う。現実の生活をみた場合、仕事を持っている以上、創作活動が大きく制約されるのは止むを得ないことである。また、近い将来、専ら創作活動をする生活となることを予想し、これに備えなければならない。このような意味合いから、創作活動を秩序あるものとする必要がある。

 

 創作活動をする時間の主体は、家庭生活にある。家庭での創作活動を大切にしなければならない。時間的な量からいって、平日と休日に分けて考えるのがよいと思われる。休日の使い方は、将来の創作活動の基礎を作るために、十分検討しなければならない。

 

 創作活動は、何を目的にするのか、明確にしておく必要がある。小説や詩歌などを創作することにある。ただ綴るだけの生活ではない。創作者としての素質を高めていかなければならない。そのためには書物に親しみ、風物を見つめ、世の中の移り変わりを知り、人間の本性を知らなければならない。執筆活動以外にも、私自身を創作者らしくするための活動が多くある。

 

 日記帳は廃止ということを考えた。それが正しいことかどうか疑わしい。無理な考え方をする必要はない。活動全体が硬直したものになってしまう。必要でないから止めてしまう、そのような考え方は以後止めることにしなければならない。