リンク:TOPpage 新潟梧桐文庫集 新潟の風景 手記・雑記集




「若草萌えるとき」

 

佐 藤 悟 郎

 

 

 文学活動を始めなければならない。やはり原稿に文学を綴るのは懐かしく楽しいことでもある。文学を考える時は、やはりこのように原稿用紙と親しく語り合わなければならない。全てを日記帳で処理することはできない。日記帳はやはり、日記としての位置付けしかできない。仕事は仕事の管理の方法がある。文学活動は、それなりの体裁のある方法と形態をもつべきだと思った。

 

 五月のゴールデンウィークを目前としている。若草が萌える時期でもある。私の心にも、若い頃の情熱を甦らせなければならない。面倒臭いことを言うつもりはない。しっかりとした方向付けをしながら活動を進めていかないと、活動は暗礁に乗り上げてしまうことになるだろう。

 

 常に、当面の活動をどのようにするかを考えてゆくことである。活動をして、支障があれば改善してゆけばよいことである。過去の作品を検討し、より小説らしいものへと作り上げていくことである。そして、編綴をしていくことが必要である。散り散りとならないように、一つひとつけりをつけていくことが大切である。

 

 文学活動は、作品を完成させることに意味がある。作品のないところには、文学活動の事実を認めることはできない。突然に作品が生まれるわけではない。良作もあれば駄作もある。その判断は、読む者の特権である。そうだからと言って、作者の立場を無視できない。どのように書いた切れ端でも、大切なものである。陶芸家は駄作を割ってしまう。優れた人は、そうもできるだろう。私にはそんなことはできない。書いたものは大切に保存し、磨きをかけてゆく方法を選んでいくつもりである。