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「窓よりみれば」 山古志中学校池谷分校一年生

 

 

 

 以下昭和四十年十月二十日の収録です。


「窓よりみれば」  

窓よりみれば
枯れ薄が
まだ房を落とさない
その房よりも小さく
魚沼の山々が見える
雲が低くたれ
頂は煙っている
秋の山は汚い色だ
杉の色は変わらないし
色々な色が暗くて
醜い

そのときだ
光が山の遠くより
差し始めた
山は赤い
山は黄色い
山はまぶしい
杉は緑に
もう虹も架かっている
山は陽の光を
いっぱいに受けて
私に言っている

私は美しいのだ
ほら見てみろ
葉の一枚一枚を
赤いだろう
緑だろう
黄色だろう
紫だろう
まぶしいだろう

そう言って光は去った
けれどその後の秋の山は
まぶしいままです
そうまぶしいのです

「秋の山道」  

秋ぞらの下で
百姓たちが
稲をせおって
山道を
あせをかきかき
登り下りしている

「百姓」  

青白くすみきった空
赤や黄色の山々
その山々の間にある
細い曲がりくねった
長い坂道を
今日も一人の百姓が
登っていく
重そうな荷物をしょいながら
曲がり角で同じ百姓に出会った
立ち止まって話をしているらしい
百姓同士の話しだから
取り入れの話でもあろうか
また歩き出した
あの百姓が坂道の上の
畑に登りつくのは
何時間後だろうか

「稲すなごき」  

エンジンをかけると
大きな声をたててまわる
稲を一把ずつもぐと
もみとかすとがはなれ出る
こんなことを何回も何回もやったりする
おもしろいようにいねがもげる
見ていると
とてもかんたんそうに見える

「稲ぶい」  

いままで黄色だった田が
こんどは土色になった
はざには稲が干してある
それをばさばさと下におろし
それを背負った
たいらなところ
こんどは上がり
こんどは下り
上がったり下ったり
稲を背負うと
稲が肩をおして
とても痛い
早く休み場までいきたい

「かがみ」  

わたしが鏡の前に行くと
私がうつる
わらった顔おこった顔
私がやったとおりにまねをする
かがみはまねをするものか
あーふしぎなものだ

「気持ちよくする風」  

ぼくはとっても重い稲をぶった
よいしょよいしょと心の中でかけ声をした
やっと稲をおろすところにきた
ぼくはあと二・三歩というところで休んだ
またその二・三歩を歩いて
どっこいしょと腰をおろして
荷縄をもって竹やぶのとこで止まった
すこし立ち止まっていたら
さーさーと音がした
なにかなと思ったら風であった
ぼくはその風のおかげで
とても気持ちがよくなった
またぶってきて竹やぶで止まった
何度もそうして
稲をぶっていった

「秋の山」  

秋の山はきれいだ
色々のいろが重なって
とてもきれいだ

「雪」  

雪よふるな
せっかくぼくたちが掘ったのに
それに親たちは年おいている
雪よふらないでくれ
おまえのために皆苦労しているのだ

「山」  

秋の山は美しい
黄 赤 黄みどり みどり
いろいろさまざまな色
いつ見ても美しい山

「稲ぶい」  

稲をぶう
痛いから汗が
たくたくと流れる
汗をふいて
また一生懸命ぶう

「きのことり」  

ガサガサ
きのことりにいく
林の中に入ると
木がさらさらいう
なにか音がすると
びくっとする
あった
というと今までのこわさも
ふっとんでしまう

「稲すなごき」  

ザーザーと稲をすなごく
しくしくと体が かゆくなる
でもがまんして すなごいている

「秋」  

秋が来た
さっと山の色が変わる
食欲の秋 みのりの秋
なんとしても秋だ
秋はいいな

「秋」  

秋になると
どの山
見つめても
もみじの色は
きれいだな

「秋の山」  

秋の山はきれいだ
色々な色それは明朗だ
いつもあんなに
きれいだといいけどなあ

「稲刈り」  

ざくざくと 稲を刈る
くるくるとまるめる
見ているとかんたんと思うが
そううまくはいかない
ざくざくと刈った
くるくるとまるめる
手のなれどころ

「土と汗」  

顔に流れる汗
そのあせに土がまざる
一つ二つとなる
あとから出る汗
そのあせは力のぬけがらなのか

「朝仕事」  

ほら 起きて 朝仕事にいこや
と起こされる
まだねむい
まだ五時だ
しかたないので起きていく
外へでて息を吐くと白く見える
ポケットに手を入れて歩いた
稲をぶってきた
汗が出て
てぬぐいでふきふき来た
家に着いたら六時少し過ぎていた

「秋の山」  

秋の山はとてもきれいだ
赤 みどり きいろ みかんいろ
いろいろないろで とてもきれいだ
私は秋の山がいちばんすきだ
いろとりどりのいろがいっぺんに見える
とてもきれいだ
秋の空もとてもきれいだ
みずいろの空
あおいろの空
ねずみいろの空
春 夏 秋 冬の中で
いちばんすきなのは春と秋
春はきれいな花がいっぱい
秋は山がきれい
私はそういう季節がいちばんすきだ

「秋の山」  

秋の山はきれいだ
山の葉に色がつくときれいだ
秋の風がふくと
きれいな葉が
ひらひらとゆれる
すでに風で落ちた葉は
遠くの方へちょうちょうのように
飛んでいく
飛んでいった葉は
だんだん小さくなり
おしまいには土の上にぽとりと落ちる

「秋の山」  

きれいな秋の山
赤 黄 緑のきれいな葉の色
うつくしい色がならんでいる
これがほんとうの秋の山だ

「大雨」  

大雨よ ふるなふるな
ふると田畑がのけてしまう
家の人がくろうするから
大雨よ ふるなふるな

「秋」  

秋になると草も木も
葉が変わってくる
変わってくると
もようのようになる
きれいになる
なんともいえないようだ

「秋」  

秋の葉はきれいだ
赤や黄などのさまざまな色
いろいろな色の木がいっぱいある
秋の山は やっぱりきれいだ

「忘れるもの」  

家を出て友だちに会う
きょうは何となんだと聞く
合っているかなと考える
大丈夫だな
少し歩くでも落ちつかない
何かわすれたのかなと
立ち止まる
でもちゃんと時間表は
合わせてきたのかなあ
また歩き やっぱり落ちつかない
何かわすれたのかな
だんだん不安になってくる
胸がドキドキする
おちつかない
やっぱりしらべてみよう