リンク: 雑記集第四編越後の風新潟梧桐文庫




 

「文学創作のための考究」

 

      佐 藤 悟 郎

 

 

 文学の創作のために、何が必要か、また何を為すべきか、何を如何に考えるべきかを考える必要がある。絶えず自分自身に示唆することが大切であり、考えるべき焦点を示すことが文学活動を続ける上で重要である。考える能力を練磨しなければならない。

 

 思いつきのまま書くことであるが、そんな中にも自分の考えで推移することが重要であって、純粋性が維持されていなければならない。

 要するに文学とはこういうものだ、構成する要素はこういうものがあり、効果的にするにはいかなる方法がある。

 活動の成長段階において、どのような立場をとっていかなければならないか考究し、集中していかなければならない。

 

 文学の客観的形成からの展開についても考えなければならない。文学は客観的形式によって形成されている。すなわち、文章によって成立し、その文章の始めと終わりにおいて、人の心に文学的価値を及ぼす表示行為である。主要な点は、文学的価値を有すること、作家の意思表示行為であることである。文学的価値と作家の表示行為の間には密接な関係がある。

 

 文学的価値とは、文章自体に含まれる性格のものと作品全体に含まれるものとがある。文章はこれらの価値を意識した上で作成されなければならない。

 

 文学性の具体的要素、すなわち素材はどのようなものが適切なのであろうか。とにかく文学性を内在するものを選択していかなければならない。文学性とは、抽象的にいえば人に影響を与えるものということになる。影響とは感覚的なものもあれば思想的なものもある。