| 幻の声 | 弁天堂が大きな寺の池に浮島となっている。学校の教師となったばかりの彼女が、同じ学校の男性教師と一緒に弁天堂が下に見えるお寺の境内の階段を下りてくる。男性教師は彼女に結婚の申し込みをするが、それを彼の妹が聞いていた。彼女は彼を好きだったが、彼は高校三年生で年下だった。年下の彼と結ばれるのを、彼女の母は強く反対していた。 |
| 想いは消えず | 小説を書いている地方公務員の青年が、以前住んでいた町の小学校時の校庭を訪れた。桜の木の下で偶然にも成長した幼馴染だった女性と出会った。女性は暫くすると女流作家として東京へと旅立った。青年は、一抹の寂しさを感じながら小説を書き続け、雑誌の同人の女性と親しくなっていくのだった。 |
| 川の堤を歩いて | 高校生の彼が散歩をしてある集落を訪れた。そこで彼に思いを寄せる女生徒に誘われ、彼女の家を訪れた。彼に愛を告げる彼女だったが、彼は早熟の彼女に大学進学をすすめ別れた。彼は市役所職員、彼女は大学へと進学した。彼は、彼女が社会を知って、彼女なりの道を進むと思っていた。 |
| 雪の中 | 小学校高学年の少女は、雪の積もる学校のグランドに飛び出している同級生の少年を見ていた。授業に遅れたのか、先生に叱られ教室のストーブの前に立たされていた。先生は黒板に問題を出して少女に解くように言った。少女が黒板の前で戸惑っていると、先生に言われて少年が少女の側に行くのだった。 |
| 中学生の健児君 | 街から遠く離れた小学校で大好きな俊子先生に教わった和子が街の中学校に入学した。和子は俊子先生から弟の健児が同学年にいることを聞いていた。ある日、和子は図書室で本を借り受ける健児の姿を見た。本を抱えて図書室を飛び出す様子に、それまで見たこともない人間性を見たような感ずるのだった。 |
| お囃子の新助 | 越後のある村の祭りで横笛を吹く少年がいた。少年は横笛の修行のため自作の横笛を持って江戸へ行った。江戸では芝居小屋でさえ相手にされなかった。町外れを歩いていると、横笛稽古場から流れる横笛を聞いていた。それも終わり、立ち去ろうとしたとき稽古場の老人が現れた。少年の取り出した横笛を見て、「この笛は、江戸では使い物にならない。」と言うのだった。 |
| 或る婦人の旅立ち | 断崖の上に広がる高級別荘地に、ある化粧品会社の婦人が訪れていた。毎日のように白い犬を連れて散歩に出かけていた。白い飼犬が白いスカーフを靡かせ散策する彼に慣れたのを知った。断崖沿いの道を歩く彼と飼犬を通して話し合うようになった。彼が街のクラブのピアノ弾きと知ると心が騒ぐのだった。 |
| 戦友の息子 | 春夫は高校を卒業して、東京のある草履会社に就職することになっていた。就職先に行く前に、大学受験を済ませ出勤した。会社の先輩に大学受験の話をしたが、先輩は常務にそのことを話した。常務はタクシーで新聞配達店前まで連れて行き、そこで働くように促した。彼は、その前に大学試験結果を確認したいと言うのだった。 |
| 酔いどれの子供 | 赳夫の住む家は小さな漁港のある田舎町だった。家は貧しく、父は酒好きでだらしなく、彼は酔いどれと呼ばれていた。父は戦争の悲惨な思いから酒を飲むようになったことを彼は知っていた。彼は陰口を叩かれながらも、高校に進学して熱心に勉強した。彼の父が勤める会社の娘文江は、そんな彼と彼の父を見つめていた。 |
| 太田川 | 彼は大学の法学部を卒業した春、久しぶりに故郷に帰った。旧友の家を訪れ、太田川で魚釣りをした。そこで谷川という小学生まで遊んだ酒造会社の倅とあった。谷川は、彼に夕方来るように言って別れた。夕方、谷川の家を訪れると、女中に留守と言われた。彼が帰ろうと玄関を出たところ、谷川の母と妹の歩いてくる姿が見えた。 |
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