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新潟梧桐文庫集 第三集








山  道

 妹の願いを聞き入れ、険しい山を歩き谷あいの渕まで連れて行った。そこで少年は、妹の寂しそうな姿を見た。実の妹と思っていた少女が、東京のある家の子供と知った。山道を歩き峠のあるところまで見送った。そこで少年は、大声で妹の名を叫び続けた。


丘の花畑

 彼は村の娘を辱め、刑務所から村に戻ってきた。罪の償い、家族を養うために戻ってきたのだった。日陰の生活を送り、山を開いて花畑を作った。娘の家に向って謝罪する日が続いた。娘の兄は、荒れ狂ったように彼の花畑を荒らした。村に洪水が訪れた…。


呉服屋の娘

 呉服屋の娘は、荒れた娘となっていた。若い警察官が店を訪れ、水を求めコップに半分を残し立ち去った。娘は残った半分の水を飲むと、店を出て行き素直な娘となって帰ってきた。娘の評判が良くなると、今度は娘の結婚話が持ち上がった。


雨の降る夜に

 彼の過ちから、彼の家は崩壊し離婚となった。妻は娘を連れて実家へ戻り、そして再婚した。彼は、ひっそりとした生活を続け、生活を整え落ち着いた行動を始めた。変哲のない生活が続いていたが、ある雨が激しく降る夜に、警察から「娘を保護している」との電話を受けた。


山の恩人

 京助は警察官で、宗徳は医者だった。京助は宗徳の助けを借りて医者になるため大学へと進んだ。宗徳の妹は医者であるが、冬山の遭難で多くの友を失い、妹一人だけ山男に助けられた。その山男を求める日々が続いていた。京助の学費には、妹の貯金が使われていた。


 素人の天気予報家の彼は、傘を持たずに出勤した私を、帰りに傘の中に入れてくれた。人通りのない道を歩いていると、一人の若い女性に出合った。傘を差さずにずぶ濡れになって歩いている。それを見た彼は、私から傘を外し、若い女性に声をかけた。


帰 還 船

 画家志望の彼は、朝鮮女性の彼女の姿を見つめていた。彼女は朝鮮学校でフルートを吹いていた。帰還船が来ると、盛装をしてフルートを吹く姿は美しく思えた。二人は同じ土地に住み、彼が絵を描いていると、彼女もすり寄っていく。そして彼女は祖国朝鮮へ帰ることになった。


少  年

 勉強好きな少年は、よく町の図書館で本を借りていた。ただ、本を返す日が遅れることが多かった。女性事務員は、ある日注意をした。少年は暫く図書館を訪れなかった。ある日少年は、昼食を持って図書館を訪れた。天候が荒れ、早く閉館する知らせに、少年の顔は曇った…。


急 病 人

 病院の医師の娘である彼女は、山の遭難で助けてくれた人と偶然街で出会った。彼女の彼氏と店の出口でぶつかり、彼氏の服が汚れたことから弁償の話となったのである。後になって彼女は、助けてくれた人だと思い出した。ある日彼が腹を抱えて、病院に転がり込んできた…。


転校生と野球

 野球有名校を追われ、雪国の高校に転校した少年がいた。ボールを握らない思いは、高校の野球部員の熱意ある行動を見て揺らいでいった。一般部員として入部し、目立たないようにしていたがそれもいずれは分かることとなった。そして少年は、決然として活躍を始めた…。




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