社長の賭 | 青年は、女子大生の彼女に好意を抱き、本を拾ったことを縁に交際を始めたが、間もなく別れた。彼は生き甲斐もなく自殺を思い立ち首を吊ろうとしていた。その時、ある会社の社長が入り込んで、彼の自殺を思い止めさせた。彼は社長の会社に勤め、幾年も過ぎていった。 |
春 の 香 | まだ春も浅いころ、少年が母の実家へ戻るため道を急いでいる時だった。その途中で、盲目の娘と老婆の二人連れと出会い、少しの間連れ立って歩いた。艶やかな娘に、淡い思いを抱きながら別れはすぐだった。 |
教師の話 | 一人の教師の家に、教え子だった大学生が訪れた。訪れた大学生は、勉強に悩みを抱いていたが、その教師から得る答えは、何もなかった。数日後、その教師から強烈な手紙をもらった。学問の道とは何か、教師の友人の死への話だった。 |
吹雪の夜、少年は遠い集落へと急いでいた。たどり着いた集落の区長の家は、同級生の家だった。ずぶ濡れになって着いてみたが、用も足りず帰らなければならなかった。そんな時、集落と町をつなぐ道は雪崩で埋まり、帰ることができなくなってしまった。 |
津軽に七里長浜というところがあった。そこの網元の倅が商人になるため、親の反対を押し切って船出をした。その船の中で危うく命を失うところだったが、幸いにも助かり、僧になった。幾年過ぎて、村へ戻った。 |
三太とお幸 | 南国のある町の本屋に奉公していた少年が、店を追われた。長年一緒に暮らしていた本屋の家族との別れだった。物静かだったその家の娘が、急に少年への熱い心を打ち明けた。 |
パン屋の主人 | ある町に、金をもらわない乞食がパン屋に現れた。パン屋の主人は、最初見栄から施しをしていたが、次第に心から心配するようになった。その乞食は、冬の訪れとともに死んでいき、パン屋の主人は大いに悲しんだ。 |
本家の娘 | 新潟県の魚沼地方の静かな町だった。一人の青年が田舎で静かに暮らしていた。年の暮れになると、例年のように東京に住んでいる本家の娘が遊びに来る。そして今年もやって来た。新年を迎えると、その娘は東京へと戻って行った。何か遣る瀬無い思いを残して。 |
修学旅行 | 修学旅行中の群れから、一人の高校生が倒れ、芸妓置屋で娘の介抱を受けた。病気も回復し、高校生がその家から立ち去ろうとした時、娘からの熱い思いを知らされたが、未練を引きずりながら立ち去っていった。 |
金持ちの家の 子 供 | 田舎町の酒倉の倅、少年がある日父に連れられ富豪の家を訪れた。そこの娘は勉強好きである。少年は相手にもされず、眠ってしまった。眠りから覚めると、机に伏している娘の姿があった。 |
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